企業や自治体などの魅力を伝える
広報誌づくりに役立つヒントを紹介します。
限られた紙面で思いを届け、読まれる・心に残る広報誌を目指しましょう。

企業や自治体などの魅力を伝える広報誌づくりに役立つヒントを紹介します。
限られた紙面で思いを届け、読まれる・心に残る広報誌を目指しましょう。

視覚的に読みやすい広報誌とは?

視覚的に読みやすい
広報誌とは?

広報誌づくりで欠かせない要素のひとつが「デザイン」です。では、読みやすい広報誌には、どのような工夫がされているのでしょうか。

1. 文字量を少なくする

「あれもこれも伝えたい」と思うあまり、情報を詰め込みすぎてしまうことはよくあります。しかし第三者の目線で見ると、文字が多い紙面は読みにくく、敬遠されがちです。特に、スマホやSNSの短い文章に慣れている今は、できるだけ短く、簡潔にまとめたほうが読みやすくなります。

2. 文字の大きさと書体

書体や文字サイズも、読みやすさに大きく影響します。本文にはできるだけオーソドックスな書体を使い、必要に応じてUDフォント(ユニバーサルデザインフォント)を取り入れるのも有効です。また、高齢者向けには文字を大きめにするなど、読者の年齢や属性に合わせて調整することも大切です。

3. 余白を活かしたレイアウト

情報を隙間なく詰め込むと、どうしても読みにくくなります。適度な余白を設けることで圧迫感が減り、すんなり読み進められる紙面になります。文字を減らして写真や図を入れるのも効果的です。余白が多いほど、上品で落ち着いた印象になります。

広報誌は「取材」で決まる

広報誌は「取材」で決まる

顧客、業界関係者、取引先、そしてパートナー企業などを読者とする広報誌では、単なる会社紹介やPRだけでは、なかなか読んでもらえません。読者はすでにその業界をよく知っている方が多いため、記事に求められるのは、現場のリアルな話や、実務のヒントになる内容です。そして、そのような記事を生み出すうえで最も重要なのが、取材です。 広報誌づくりは、デザインや体裁も重要ですが、取材でほとんど決まると言っても過言ではありません。この連載では、広報誌制作における取材の考え方や進め方について、ライターの実務経験をもとに紹介していきます。第1回はまず、なぜ広報誌は取材で決まるのかという基本からお話しします。

1. 広報誌作成の上での課題

広報誌は、一般向けの情報発信とは少し事情が異なります。例えば、次のような特徴があります。

  • 読者が一定の知識や関心を持っている
  • 表面的な説明では物足りない
  • 実務的な内容が求められる
  • 現場のリアルな情報に価値がある
  • そのため、内容が浅い記事や、単なる会社紹介のような記事では、読者の関心を引くことができません。実際に広報誌を見ていると、次のような課題を感じることがあります。
  • PR色が強く、読み物として面白くない
  • どの記事も似たような内容になっている
  • 現場の具体的な話が出てこない
こうした問題は、文章の書き方の問題のように見えるかもしれません。しかし実際には、その多くは取材の段階で決まっていることが少なくありません。

2. 面白い記事は「良い取材」から生まれる

記事の良し悪しに大きな影響を与えるのは取材です。どれだけ文章力があっても、取材で興味深い話が聞けていなければ、記事はどうしても平凡なものになります。 逆に、良い取材ができていれば、

  • 現場の具体的なエピソード
  • 業務の工夫やノウハウ
  • 担当者の思いや背景
といった内容が自然と集まります。そうした材料がそろえば、原稿は無理に面白く書こうとしなくても、自然と読み応えのある記事になります。

3. 広報誌の価値は「現場の声」が決める

これまでにも数々の取材を行ってきました。そのいくつかをご紹介します。

    <辻・本郷税理士法人「SCOPE」>

    <世田谷区「せたがやエコノミックス」>

    <東京商工会議所「医がむすぶ技術と知恵」>

    4. 「取材」は最も重要な工程

    事前準備の仕方、質問の設計、当日の進め方によって、引き出せる内容は大きく変わります。その違いがそのまま記事の質となって表れます。だからこそ、広報誌づくりにおいて取材は、最も重要な工程だと言えるのです。 本連載では、こうした取材の考え方や具体的な進め方について、実務の視点から解説していきます。広報誌のクオリティを高めたいと考えている方にとって、実践的なヒントとなれば幸いです。

    広報誌の取材テーマはどう決める?

    広報誌の取材テーマは
    どう決める?

    広報誌づくりにおいて、「何を発信するか」は最大のポイントです。特に、顧客や業界関係者、取引先などを読者とする広報誌では、テーマの良し悪しがそのまま記事の価値に直結します。どれだけ丁寧に取材をしても、テーマが的外れであれば読者には響きません。逆に、テーマが的確であれば、記事は自然と読まれるものになります。では、読まれる広報誌のテーマは、どのように決めればよいのでしょうか。

    1. よくある失敗は「会社目線」からのスタート

    広報誌のテーマを考える際に、最も多いのがこのパターンです。

    • 新サービスを紹介したい
    • 新しい取り組みを伝えたい
    • 自社の強みをアピールしたい
    もちろん、これらは間違いではありません。しかし、この発想だけでテーマを決めてしまうと、どうしても「PR色の強い記事」になってしまいます。読者はすでに情報を多く持っています。そのため、「すごい会社です」という内容だけでは、なかなか読んでもらえません。

    2. テーマは「読者の関心」から逆算する

    では、どうすればよいのか。答えはシンプルです。読者が知りたいことから考えるということです。例えば、同じ内容でもテーマの立て方によって印象は大きく変わります。

    • × 新サービスを紹介する → 「新サービスの特徴と強み」
    •  読者視点で考える → 「このサービスは現場の何を変えたのか?」
    このように、“自社が伝えたいこと”を、“読者が知りたい形”に変換することが重要です。そして、この「読者の関心」は、決して偶然生まれるものではありません。多くの場合、その背景には外部環境の変化などがあります。

    3. 良いテーマは「外部要因」からも設計する

    テーマ設定において重要なのは、読者の関心がどこから生まれているのかを捉えることです。その起点となるのが外部環境です。具体的には、「①シーズン(年間業務)」「②社会・業界の変化」の2つの軸があります。

      ①シーズン(年間業務)

      ほとんどの業界には、年間を通じた業務の流れがあります。例えば、税理士法人の広報誌であれば、2月には「確定申告」、4月には「税制改正」、11月には「年内に済ませたい税務」といったこの時期ならではのテーマがあります。こうしたテーマは、読者自身がまさに直面している課題と重なるため、自然と関心が高まります。つまり、シーズンは読者の関心が最も顕在化するタイミングだと言えます。

      <辻・本郷税理士法人「SCOPE」>

      ②社会・業界の変化

      もう一つが、社会や業界の変化です。

      <辻・本郷税理士法人「SCOPE」>

      こうした変化は、現場の業務に直接的な影響を与えます。そのため、読者は「自分たちはどう対応すべきか」という関心を自然と持つようになります。つまり、外部環境の変化とは、読者の関心が生まれる“きっかけ”そのものなのです。

      4. 自社の強みを打ち出す

      そして重要なのは、ここで終わらせないことです。単に「変化がありました」と伝えるのではなく、その変化に対して、自社がどのように対応しているのかまで踏み込むことで、初めて記事としての価値が生まれます。 つまり、

      • 外部環境(シーズン、社会・業界の変化)
      • 現場の課題(あるある)
      • 自社の取り組み(強み・工夫)

      という流れでテーマを設計することが重要です。この構造を意識することで、単なる情報発信ではなく、読み応えのある広報誌のテーマへと昇華させることができます。テーマは、思いつきで決めるものではなく、読者の関心や外部環境を踏まえて設計するものです。この設計ができているかどうかで、広報誌の“読まれ方”は大きく変わります。

      取材前の準備で8割決まる

      取材前の準備で8割決まる

      広報誌の取材というと、「当日のインタビューが重要」と考えられがちです。しかし実際には、取材の質は、当日ではなく事前準備でほぼ決まります。同じ取材対象であっても、準備の有無によって、引き出せる内容は大きく変わります。 <表面的な話で終わる取材> ⇔ <具体的なエピソードまで引き出せる取材> この差は、当日の話術ではなく、事前にどこまで設計できているかで決まります。

      1. 「準備不足」は絶対ダメ

      例えば、準備をせずに取材に入った場合、こんなことが起きます。「今回の取り組みについて教えてください」と聞くと、「業務効率化を目的にシステムを導入しました」といった説明は返ってきます。一見すると問題ない回答ですが、ここから先が広がりません。

      • どの業務がどれくらい非効率だったのか
      • 現場ではどんな手間が発生していたのか
      • 導入にあたって何に苦労したのか
      こうした具体的な話に踏み込めないため、結果として“どこかで見たような記事”になってしまいます。取材の段階で決まっていることが少なくありません。

      2. 準備とは「下調べ」ではなく「仮説」である

      では、準備とは何を指すのでしょうか。単なる情報収集ではありません。重要なのは、「この取材で何を明らかにするのか」という仮説を持つことです。 例えば、同じテーマでも、

      • なぜこの取り組みを行ったのか
      • 現場では何が変わったのか
      • どこに苦労があったのか といった視点を事前に持っているかどうかで、質問の質は大きく変わります。仮説があることで、
      • 何を聞くべきかが明確になる
      • 話の深掘りができる
      • 本質的な話にたどり着ける
      ようになります。

      3. 取材準備は「設計」である

      ここまで見てきたように、取材前の準備とは、

      • 情報収集
      • 仮説立て
      • ストーリー設計
      を行うプロセスです。これは単なる下準備ではなく、記事そのものの設計作業と言ってもよいでしょう。良い取材は、その場の会話のうまさで生まれるものではありません。どれだけ事前に考え、仮説を持ち、何を引き出すかを設計しているか。その積み重ねが、取材の質を決めます。 広報誌づくりにおいては、取材当日がスタートではなく、準備の段階からすでに取材は始まっていると考えることが重要です。

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